新学期（起床編）

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待ちに待った新学期。今日からやっとお兄様と同じ学校に行けるわ。
お兄様と一緒に住み始めておよそ2週間。
その間朝から晩までず〜っと一緒……っていうわけには流石にいかなかったけれど、それでも春休みの間の半分以上の時間を大好きな人と一緒に過ごせるというのはとっても幸せなことだった。
学校へ行く用意が出来たので、お兄様を呼びに行く。 「お兄様〜、今日から新学期よ？早く起きないと遅刻…………キャーッ♥お兄様ったらダイタン……♥♥」 「ちょ、ちょっと咲耶、部屋に入るときはノックしろって……ていうかこっそり指の隙間から覗いてるんじゃない！早くドア閉めて……。」 咲耶が部屋のドアを開けると、そこには半裸で着替えの真っ最中のお兄様がいたのだった。 「ご、ごめんなさい、お兄様……でもお兄様ってちゃんと早起きできるのね……ちょっとツマラナイかも。」 まだうとうとしているお兄様に抱きついて起こそう、という計画を立てていた咲耶はちょっと拍子抜けしてしまった。その反面、朝から半裸お兄様を見ることが出来たのでちょっと得した気分だった。
でもよく考えてみたらお兄様は春休み前までずっと一人暮らしだったんだし、ちゃんと起きられるのは当然のことだったのだ。

「今日の朝食は何かな？」 制服を羽織ながらキッチンに行くと、トーストの香ばしい匂いがただよっていた。 「今日の朝食はトーストとサラダとベーコンエッグよ、お兄様♥」 フライパンを持った咲耶が振り返りつつ応える。 「でも今日から学校なんだから、もう少し多いほうがよかったかしら……」 「いつもと同じで大丈夫だよ。これで充分。」 朝からそんなに妹を働かせるわけにはいかない。咲耶と一緒に住むようになって朝食の用意はほとんど咲耶に任せっきりになってしまってるけど、明日からはできるだけ僕も朝食をつくるようにしないとね。
コーヒーを淹れながらちょっと申し訳ない気分になった兄だった。

朝食が終わってほっと一息つくと、もう学校に行く時間だった。 「忘れ物はないかしら？お兄様。」 お兄様ってしっかりしてるところもあるけど、うっかりしてる部分もかなりあるから私がキチンとチェックしなくっちゃね。
たぶんないとおもうよ、っていうお兄様にハンカチは？ティッシュは？ってひとつひとつ聞いていく私。……ウフフっなんだか新婚さんみたいじゃないかしら？でも新婚さんと違うのはこれから一緒に登校するっていうトコロ。春休みの前までは校門から別々になっちゃったけど、今日からは校舎まで一緒に行けるのよ？そして同じ校舎でお勉強してるから忘れ物の貸し借りもできるし……「咲耶、英語の辞書忘れちゃったんだけど……」「もう、しょうがないお兄様ね♥ はい、これ。次の時間は私も英語だからお兄様の教室までとりに行くわね？」「いや、忘れたのは僕なんだからまた僕が返しにくるよ」…………あっ、忘れ物のチェックしちゃったらそのチャンスがなくなっちゃうじゃない！…………明日からはチェックをもうちょっと緩くしちゃおうかしら……なーんて。フフッ♥ 「咲耶？」 っと、いつのまにかボーっとしてたみたい。 「あ、そろそろ出発しなきゃ遅くなっちゃうわよね。」 朝からちょっぴり妄想してたのを誤魔化しつつ、大好きなお兄様の手を取って家を出る咲耶だった。

続く（ぇ